A 社会人になったばかりの今、皆さんは仕事の厳(きび)しさや学生時代にはなかったような人間関係の複雑さに驚いているのではないでしょうか。こんなはずではなかったと、抱いていた理想が崩(くず)れそうになることがあるかもしれません。特に、自分とは異なる価値観を持った上司や先輩(せんぱい)から無理な仕事を頼まれたときなど、強くそう感じることでしょう。時には先輩(せんぱい)の言葉につい反発(はんぱつ)(注1)したくなることもあるでしょう。しかし、そんなときにはまず相手の考え方を受け入れてみてください。信頼関係を築くにはある程度の時間が必要であり、その後で自分の考えを述べればよいのです。それまでは自分を抑(おさ)えることも大切で、それが社会人としての訓練でもあります。 B 人間にとって心身ともに健康であることが理想的だが、新しく社会に出た若者たちは、時にはうまくいかないことに出会い、自信を失うこともあるだろう。経験から言うと、同僚(どうりょう)や先輩(せんぱい)の温かい言葉が耳に入らなくなってしまうのは、そういう、自分に自信がなくなったときであることが多い。その結果、今まで築いてきた人間関係まで壊(こわ)してしまうことさえある。自分の周りの人たちを大切にして、助言(じょげん)(注2)を生かしていく気持ちを持つためには、まず自分のこれまでの努力を肯定的にとらえてみよう。結果が完璧(かんぺき)でなくても、「よくやった」と自分自身に言えると、他の人の言葉も素直(すなお)に聞くことができるようになる。 (注1)反発(はんぱつ)する:言い返す (注2)助言(じょげん):アドバイス AとBでは新社会人にどのようにアドバイスをしているか。