第一篇 こんなにたくさん車が走っているのに、日本で売れる車の数が少なくなったという話は聞かない。どこへいっても道には車がいっぱいで、タクシーに乗って急いでも、約束の時間にその場所に行けないことのほうが多い。駐車をする場所を捜すのにも大変な時間がかかる。それに駐車場があっても、車を止めるのに高い料金を払わなければならない。( A )車が売れるのはどうしてだろう。 「日本の家が問題だ」という説明がある。家が狭くて自分が一人になれる場所がないし、広い家を買おうと思っても、高すぎて買うことができない。車なら銀行でお金を借りてかっても、毎月銀行に返すお金は家を買った時ほど多くはない。それで、大きな音で自分がすきな音楽を聞いたり、一人で静かに何か考えたりするのに、「車」という自分の場所を買うのだそうだ。 20年前に、初めてアメリカへ行った時、同じような話を聞いた。ある日、長い時間散歩をして少し疲れたので、一緒にいたアメリカ人の友達に、喫茶店へ行ってコーヒーでも飲もうと言うと、アメリカには日本のような喫茶店は少ないと言われた。私が「どうして」と聞くと、日本で生活したことがあるの友達は、「その理由は日本の家が狭いからだと思う」と説明してくれた。アメリカでは友達とコーヒーを飲むのは、喫茶店ではなく、自分の家や友達の家だそうだ。( B )と言うのだ。その時は「なるほど」と思っただけだったが、今考えてみると、これ( C )も車の話と同じで、自分達の「場所」にお金を払うということだろう。きれいにみがいた車のなかをいろいろな物で飾ったり、車に乗る前に靴をぬぐ人もいるそうだ。そんな大切な車に乗って行く場所どこだろうか。友達とお茶を飲んだり話をしたりする「場所」へ行くのだろう。 ( C )の「これ」は何をさしているか、次の中から選びなさい。