次の文の下線のところに正しい日本語漢字を一つ書きなさい。『伊豆の踊子」（1926/大15）　二十歳の旧制高校生である「私」は、①＿＿児根性で歪んだ自意識に耐え切れず、一人伊豆の②＿＿に出た。そこで、旅芸人の一座と親しくなり、一人の可憐な踊子に惹かれた。そして、一行の中に溶け込みながら、「私」は③＿＿が温められ、普通の人としての素④＿＿さがよみがえっきた。四日後、旅費の尽きた「私」は一人⑤＿＿ることにした。かたくなに押し黙って見送る踊り子の姿が見えなくなると、「私」は船室でぽろぽろ⑥＿＿をこぼした。　この小説は作者の実際の体験に⑦＿＿づいて書かれたものであり、発表当時から高評であった。⑧＿＿感覚派風の飛躍や奇抜のない、全編単純で明晰な文体と構成によって書かれている。作品の基調を決めるものは青春⑨＿＿の独特な抒情と淡い感傷であり、何よりもまず優れた青春文学である。人物⑩＿＿でいえば、洗い出されたような純粋な⑪＿＿しさをもつ踊子は、妖精のような存在で、「私」も読者もその純真さに清められ、⑫＿＿朴な人間的暖かさを感じ取る。十四歳という踊子の年齢の設定やその無⑬＿＿気な言動からも、作者の潔癖が伺われる。一方、踊子と読者を⑭＿＿ぶ媒介者の「私」は、作者の巧妙な計算によって、⑮＿＿人称でありながら過剩な感情叙述を一切せず、節度のある抒情を全編に貫かせている。この「私」と踊子との関係の延長として、『⑯＿＿国』の中の島村と⑰＿＿子や⑱＿＿子との関係が成立するのだと考えられる。また、作⑲＿＿論的に考察する時、この控え目な、節度ある「私」の性格は、人物設定上の「①児根性」によるもので、実は作者自身の生い立ちに直結していることは⑳＿＿うまでもない。